よくある質問

胎児ドックを受けることができますか?

当院は敢えて「胎児ドック」という名称のプログラムを設定していません。現在いくつかの施設がこの名称を使用していますが、検査内容が施設ごとに異なり、一定の基準がありません。胎児の検査・診断の選択肢には様々なものがあり、それぞれ長所、短所があります。当院では「胎児ドック」という名称を用いず、選択肢の内容について明確にご説明し納得いただいた上で検査を受けていただいており、他の施設で行われている胎児ドックの内容と同等あるいはそれ以上の検査を行っております。

妊娠初期の検査は、いつ受けるのが適切でしょうか?

FMC東京クリニックにおける妊娠初期検査の中心は、FMFコンバインド・プラス(初期精密超音波検査と初期血清マーカー検査の組み合わせ)です。超音波検査は妊娠11週後半から13週、初期血清マーカー検査は9週から13週の間に行いますので、同日にお受けいただくことも可能ですが、精密超音波検査の所見はその日のうちにお話しできますが、初期血清マーカー検査の測定値がわかるのは翌日以降になりますので、両者を同日に受けられた場合は、全項目を組み合わせた総合判定結果をお話しするのは翌々日以降になります。
検査スケジュールの例としては、以下のような選択があります。

1. 遺伝カウンセリングと初期血清マーカー検査を9週〜13週の時期におこない、中1日以上あけて11週後半〜13週に超音波検査→ 超音波検査のあと、同日に総合判定結果の説明

2. 遺伝カウンセリングと初期血清マーカー検査、超音波検査をすべて、同日(11週後半〜13週)におこない、翌々日以降に総合判定結果の説明。

遺伝カウンセリングのみ、別の日に先に受けていただいても結構です。
当院では、妊婦さんの状況にあった検査選択を可能にするため、いつどのような検査を受けたらよいのか、どういう選択肢があるのかなど、遺伝カウンセラーが詳しい説明を行っています。妊娠がわかったら、あるいは妊娠前でもかまいませんので、早めにご連絡ください。

NTって何ですか?

NTとは、英語のNuchal Translucency の略で、日本語の正式名称は「胎児後頸部透亮像」といいます。妊娠11週0日〜13週6日ころの赤ちゃんの首や頭の後ろにある、超音波で黒く見える部分のことです。多くの産婦人科医やインターネットの情報サイトが、「首の後ろのむくみ」などと表現していますが、通常これは病的な状態ではありませんので浮腫(むくみ)という表現は適切ではありません。

また、NTは、「有り」「無し」で表現するものではなく、「○.○mm」と厚さで表わされる指標です。これは皮下にリンパ液が溜まっている部分で、赤ちゃんのリンパ管が発達していくにつれ、薄くなっていきます。

かかりつけの医師に、「胎児の首の後ろがむくんでいるからダウン症候群の可能性が高い」と言われました。どういうことなのでしょうか?

医師からは事前に検査についての説明はありましたか? それとも、突然そのようなことを言われたのでしょうか。いずれにしても、驚かれたことでしょう。

日本では、NT(胎児後頸部透亮像)の厚さが約3mm以上あると「むくんでいる」と表現され、ダウン症候群の可能性が「高い」と説明されることがしばしばあるようです。しかし、NTが3mmの場合、赤ちゃんに染色体異常がある確率は3~4%で、染色体異常のない子が産まれる確率の方が圧倒的に高いのです。ダウン症候群の可能性が「高い」というのは、あくまでも「NTが厚く見えない赤ちゃんと比べて」という意味で、「正常な染色体の赤ちゃんが産まれる可能性よりも高い」ということではありません。

また、NTと呼ばれる部分が厚くなる状況はいろいろな原因で起こりえますので、必ずしもダウン症候群のみと関連したものではありません。NTが一般的な厚さより厚いと気づくことでいろいろな胎児の病気を発見するきっかけになることはありますが、これ自体が病気というわけではありません。NTが5mmあっても、約50%の胎児には何の病気もないとされています。

本来、NT測定を始めとする初期の胎児検査は、イギリスのFetal Medicine Foundation(FMF)や、アメリカのNuchal Translucency Quality Review (NTQR) の認定資格者により、十分な遺伝カウンセリングとともに行うべきものです。また、NTが一般的な厚さより厚いと思われる際には、他の指標や状況とあわせて総合的に判断し、必要に応じて別の検査も行いながら、胎児にさまざまな疾患があるかどうかを確認していくことが有意義です。一度、FMFもしくはNTQRの有資格者による診察をお勧めします。

NTの測定は、いつごろすべきでしょうか?

妊娠11週後半~13週、頭臀長(CRL:頭からお尻までの長さ)であれば45~84mmが測定に適した時期です。この時期にNTをFMFの有資格者がチェックすると、専用のソフトウェアでダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーの確率計算ができます。この期間にNTの厚さが標準的であれば、妊娠10週以前にNTが厚く見えていたとしても、医学的に大きな意味はありません。また、妊娠11週後半~13週に厚かったNTが14週以降に「薄くなった」としても、いったん算出した染色体異常の確率は変わりません。

NTは妊婦健診でチェックしてもらえますか?
また、妊婦健診で何も指摘されなければNTは大丈夫だと考えていいのでしょうか?

NTは、妊婦さんに事前説明を行った上で、その技術をもつ資格者が測定すべきものです。妊婦健診施設にFMFの有資格者がいれば、きちんとしたNT測定を受けられる可能性がありますが、すべての医療機関でNTをチェックしているわけではありません。したがって、妊婦健診で特に言及されなかったからといって、「大丈夫」ということではありません。

初期の精密超音波検査では、NT以外にどんなことがわかりますか?

初期精密超音波検査では、胎児・臍帯・胎盤・子宮・卵巣の形態的なチェックと、染色体異常の超音波マーカー(NT、鼻骨、心臓、心拍数、静脈管)のチェックを行います。

形態的なチェックとは、見た目に解剖学的な異常がないかを、精密超音波検査で可能なかぎり観察することです。染色体異常の超音波マーカーは、ただちに異常や病気というわけではなくても、染色体異常の可能性を示唆するような点をチェックします。
つまり、初期精密超音波検査は、解剖学的なチェックと、染色体異常(ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー)である可能性の判定(確率が数字で出ます)という二つの意味合いのある検査なのです。
ただし、初期の胎児はまだ小さいため、解剖学的な形態のチェックには限界があります。胎児の身体や臓器の形態は、妊娠中期(20週前後)により細かくチェックすことができるようになります。したがいまして、羊水検査やNIPTなど他の検査で胎児の染色体異常の有無についてチェックされている方は、解剖学的なチェックのためだけに初期精密超音波検査を受けなくても、妊娠中期の精密超音波検査を受けていただくことで、胎児の身体や臓器の形態チェックは十分に行うことができます。

新しく登場した血液による出生前検査(NIPT)を受ければ、超音波検査を受けなくてもいいですか?

NIPTは、胎児がダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーではないことを確認する検査として非常に優れています。しかし、NIPTでは、胎児の心臓をはじめとする臓器の問題や、身体の形態的な問題、あるいは、胎盤・臍帯の問題はわかりません。したがいまして、NIPTをお受けになった結果が良い結果であったとしても、胎児の形態異常の有無を確認する検査をお考えいただくことは有意義です。その際には、初期精密超音波検査にてNIPTでわからない胎児の疾患が見つかる可能性がないわけではありませんが、通常は、胎児がもう少し大きくなって細かいところまでチェックできるようになる妊娠中期の精密超音波検査を受けていただくことをお勧めしています。

初期の胎児検査は、精密超音波検査だけですか?

妊娠初期の検査として、当院では、FMFコンバインド・プラスという検査を実施しています。この検査は、採血により2種類の血清マーカーと呼ばれる物質(PAPP-A、free β-hCG)を測定して、精密超音波検査の複数の所見と組み合わせる方法です。NT測定のみでのダウン症候群の検出感度は75~80%ですが、初期精密超音波検査の複数の所見と2つの初期血清マーカーを組み合わせた場合は93~96%になり超音波検査と血液検査を併用することで染色体異常の見落としが少なくなります。
ただし、年齢が非常にお若い方などもともと胎児の染色体異常の可能性が低いと考えられる方の場合や、逆に、超音波検査のみで染色体異常が強く疑われる場合は、初期血清マーカー検査を加えずに初期精密超音波検査のみ受けていただく形でも対応しています。
また、胎児の染色体異常が疑われていたりご出産時に35歳以上であるなど一定の条件を満たす方は、胎児の染色体に関する確定診断である絨毛染色体検査を受けることもできます。絨毛染色体検査も、初期に実施する検査のひとつであり、当院では、妊娠11週のはじめから13週の終わりごろまでの間に実施しています。

初期の胎児検査を受ければ、中期の精密超音波検査は受けなくてもいいですか?

初期の精密超音波検査でも胎児・臍帯・胎盤の形態異常をチェックしますが、初期段階では解剖学的に限界があります。例えば、脳は産まれてからも発達し続ける臓器ですが、初期ではまだ大脳や小脳が発達しておらず、小脳の大きさを測定したり、形を観察して水頭症などを見つけたりするのは困難です。また、複雑な構造をしている心臓は、初期段階では米粒ほどの大きさなので観察に限界があります。しかし、中期になると2cmほどの大きさになるため、超音波検査で得られる情報量が格段に増えます。ほかにも、顔面や消化管、泌尿器、手足など細かな観察が可能です。各部位の血流を調べ、診断に役立てることもできます。

ただし、胎児の姿勢や動き、子宮筋腫の位置などによって、見えにくい箇所が生じることもあり全ての病気が超音波検査で診断できるわけではありません。また、中期精密超音波検査の段階でまだ完成していない臓器もあり、中期精密超音波検査の後に疾患が判明することもあります。
また、近年、超音波検査に熱心な医師や技師のいる一部の医療機関では、中期スクリーニング等の名称で精密超音波検査が行われるようになってきました。実施時期や内容は必ずしも同じではありませんが、きちんと行われている病院もありますので、中期精密超音波検査を希望される方は、かかりつけの産婦人科で同様の検査を行っているかどうか確認されることをお勧めしています。

*クアトロテスト®:母体血清中の4つのマーカー( AFP、uE3、hCG、Inhibin A )を測定し、胎児にダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管閉鎖障害があるかの確率を算出する検査。

妊娠末期(妊娠28週以降)に行える検査はありますか?

妊娠末期も、中期と同じ精密超音波検査が受けられます。胎児の骨が発達することで超音波の通りが悪くなって見えづらい部分が増えたり、胎児の姿勢が変わりにくくなるため検査上の制限があります。しかし、末期の方が診断しやすい疾患もあります。末期の超音波検査は、分娩前に状態を把握しておくためにかかりつけの産婦人科で調べることが多いと思いますので、通常はかかりつけで受けていただいていますが、状況により当院で対応する場合もあります。ご興味のある方は、ご相談ください。