PGT-M(着床前診断)に関する倫理審議会が開かれました。

表題の審議会(第2回)が、2020年11月1日(日曜日)に開催されました。

「PGT-Mに関する倫理審議会(第2部)」の開催についてWEB視聴およびアンケートのお願い※会議当日に使用する資料をご覧いただけます|公益社団法人 日本産科婦人科学会

上記リンクの中のweb試聴や資料などについては、既にリンクが切れていたりするものもあるのですが、この審議会、当院医療情報・遺伝カウンセリング部の田村智英子がメンバーになっていますので、報告させていただきます。

 その前に、着床前診断といっても、まだまだ一般には馴染みがない部分もあると思いますので、以下の過去記事など参考にしていただけますとありがたいです。

 日本産科婦人科学会ページ内の資料にも記載されていますが、この審議会の目的は、「重篤な遺伝腺疾患に対するPGT-M」について、社会の変化、診断法・治療法の発展変化、海外での状況などを踏まえて、その適応・重篤性の考え方、その判断の流れについて、一般を含めた方々より白く意見を伺い、再検討するための判断材料を収集することである。ということで、22年前に学会が出した「指針」に従って進められてきた「臨床研究」の硬直性に起因する様々な問題が顕在化してきた中、ここへきて見直しの機運が出てきたというところです。先日記事にした「出生前検査」の問題といい、この問題といい、同じような経過を辿っているようですが、やや形が違うとはいえ、双方ともにようやくきちんと議論を再開しようという流れになってきていることは、良いことだと思います。これらの問題に対して、これまで指導的立場にあった方々(世間一般の人たちや様々な立場の当事者の声に耳を傾け、寄り添ってきたとはあまりいえないと感じるような、まさに『指導的』立場の先生方)の元で直接指導を受けてきた方々も多いし、指導者に従順な部下ほど柔軟性に乏しいという傾向があるので、私たちが現場で得てきた感覚や、文化や思想の違いを受容・尊重する立場からの意見が、どの程度伝わるのか、理解していただけるのか、という課題がありますが、前向きな議論が進んでくれることを望みます。

 今回は、田村がプレゼンする機会を得ることができ、彼女の個人的な繋がりも利用した日常的な情報収集や積み上げてきた臨床経験を元に、海外の現状を踏まえた上でわが国の課題を考える内容を提示しました。ここでその内容を紹介したいと思います。力作なので、前半、少し難しいな、よくわからないとお感じになる場合は、後ろの方の「考察とまとめ」の部分をお読みいただくだけでも、十分に問題が理解しやすくなると思います。ぜひお読みいただいて、知って、考えていただきたいと思います。

 

日本産科婦人科学会では、この審議会をweb視聴した方を対象としたアンケートも実施しています(https://questant.jp/q/PRVXV4I0)。この資料を参考に、アンケートにお答えいただけるとありがたいと思います。

 最後に、考えていただくための材料の一つとして、上記リンク資料内にもありますが、PGT-Mに関する賛否の意見を列挙したものを貼り付けておきます。

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