出生前検査を受けることに罪悪感を持つ必要はありません。遺伝カウンセリングでは、自己決定(選択)のお手伝いをします。

以下のようなニュースを、Yahoo! ニュースで見つけました。

わが子がダウン症だったら?― 出生前診断を受けた夫妻の選択 – Yahoo!ニュース

超音波により疑い⇨羊水検査⇨診断 という流れで、お腹の赤ちゃんがダウン症候群と診断されたが、産み育てる選択をされたご夫婦のインタビューです。

ここに登場されるご夫婦は、ダウン症候群のお子さんをしっかり育てておられますが、出生前検査を受けることについては、肯定的な意見を述べておられます。これまでこのような話があまり出てくることがなかったので、良いインタビュー記事だなと感じました。

これまで多くのマスコミは、出生前検査/診断の話題を記事にする際、必ずと言っていいほど、『ダウン症候群のお子さんを育てておられる方は、お子さんの生を否定されるという思いから、出生前検査の普及には反対されている。』という意見ばかり取り上げてこられていたように感じていました。

しかし当院には、実際にダウン症候群のお子さんをお持ちの方も検査を受けにいらっしゃっています。それぞれの方にそれぞれの考えや事情もあるでしょうし、それぞれの意見もあると思います。しかしこれまで、この問題についての議論は、どうも一方的な立場同士の対立の構図というような扱いがされてきたように思います。

一方では、「命を選別しようなんて検査はけしからん。」「そんな検査は行うべきではない。」と言われ、しかしもう一方では、「障害のある子を育てるのは大変だから、障害があったら困る。」「生活が大変になるから、今回は諦めなさい。」と言われ、どっちにしても責められるような究極の選択みたいになるから、みんな追いつめられて怖くなるんじゃないでしょうか。

検査を受けるというだけで、罪悪感を感じてしまっている方もおられます。罪悪感を植え付けられてしまったのではないかと感じるようなケースもあります。

主観の入らないありのままの事実、正確な情報が多く伝われば、それぞれの人たちがそれぞれの立場や考えに基づいて、自分で決めることができるはず。

「そうか、自分たちで決めていいんだ。」と、みんなが思えるようになることが、大事なことなのではないかと思います。

「えー、決められない。」という人も多いのかもしれません。しかし、最後は自分で納得のいく形でおわってほしい。遺伝カウンセリングでは、自己決定のサポートを行います。決定された方向性については、どのような場合(妊娠中絶を選択する場合、あるいは出産を目指す場合)でも尊重し、可能な限り支援いたします。