胎児ドックについて3(2016年8月2日)

「胎児ドック」の名称で行われている検査は、ほぼ全てが超音波診断装置を用いた胎児の観察です。そして、どの時期に、胎児のどの部分について、どこまで細かく観察するか、ということについては、これを行う施設によって違いがあります。一定の基準に基づいて行われているわけではありません。
検査を行う人も、医師である場合もあれば、検査技師である場合もあります。医師は通常、産婦人科医ですが、超音波診断を専門にしている医師とは限りません。「胎児ドック」をやっているといえば、皆同じように検査をしているというわけではないので、注意が必要です。
私たちが、「胎児ドック」という名称を使用していない理由の一つは、他の施設と同列の検査であるという誤解を避けるためです。
同時に、私たちがこの名称を使用しない理由がもう一つあります。
FMC東京クリニックでは、検査を行う前に、遺伝カウンセリングを行っています。この遺伝カウンセリングののちに、検査のインフォームド・コンセントを得ています。当院を受診される方の受診理由には様々なものがあります。また、その背景も様々で、中にはお話ししていく中で遺伝との関連を検討しなければならない可能性のある家族歴や既往歴がみつかる方もいらっしゃいます。それぞれの方の状況に合わせて、どのような検査が適切なのかを考え、受ける検査を選択していただくことから診療が始まります。受診される皆さんが、「胎児ドック」という検査を一律に行うことにはならないということもあって、あえてこの名称は使用しないことにしているのです。